看護部からのお知らせ

看護部からのお知らせ

はばたけ!ワタシ~呼吸器内科看護師 酒井 文美看護師

2023.08.01

颯爽と働く看護師の叔母は、幼き目に格好良かった。同じ道を志し17年。病棟看護師の傍らエンゼルケア(逝去時ケア)の院内認定看護師として後進を指導している。

きっかけは入院していた祖父が亡くなったこと。泊まりの付き添いを終え帰宅するや否や、電話が鳴った。職場に引き返す車中で湧き上がる後悔の念。時すでに遅かったが担当看護師の一言に救われた。「大丈夫。お爺ちゃんは最期、私がついていたから独りじゃなかったよ」。当時の一般的な病院では臨終の際手首やあごをバンドで結び、鼻に綿を詰めていた。看取る側として本当に遺族に寄り添えているか自問自答した。都内で新しい形の遺族ケアを学ぶ講習会に足が向いた。

故人の肌色に合わせファンデーションを調合し、ぽっと赤みが差す穏やかな顔に仕上げる。時には遺族と共に体のケアをしつつ思い出話に耳を傾ける。「エンゼルケアは特別な儀式じゃない」。院内研修はいつもこの言葉から始めている。あの時自分が救われたように、これからも遺族の気持ちに寄り添っていく。